英検®1級二次試験の面接対策トピック31選|過去問の傾向からプロ講師が厳選

英語学習者の皆さん、二次試験の面接は、スピーチや質疑応答など、一筋縄ではいかないと感じる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、これまでの指導経験と過去問の分析から、英検®1級二次試験の面接に頻出するトピックを厳選してお伝えします。本気で本気で合格したい人は、ぜひ活用してください!

■この記事を書いた人
純ジャパながら独学で英検®1級、TOEIC®925を取得。年間300人以上に指導している現役英会話講師です。字幕・吹替・広告翻訳家としての顔も持ち、現在は1児の母として子育てと両立しながらフランス語も話すマルチリンガルに。メディア会社での役職経験を活かした分かりやすい解説で、英語学習に役立つコンテンツをお届けしています。
英検®1級二次試験(面接)の試験概要
まずは、英検®1級二次試験の概要をしっかり把握しましょう。
英検®1級二次試験(面接)の日程
英検®1級の二次試験を受験するチャンスは年3回のみで、一次試験の合否発表から約1カ月後に行われます。一次試験に合格したら、すぐに二次試験の対策を始めることが重要です。
第1回検定 | 第2回 | 第3回 |
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7月上旬 | 11月上旬 | 3月上旬 |
参考:公益財団法人 日本英語検定協会ウェブサイト
英検®1級二次試験(面接)の会場
全国主要都市の指定された会場で実施されます。1級の二次試験(A日程・B日程)は全国14受験地(札幌、仙台、横浜市、千代田、新宿・豊島、世田谷、新潟、名古屋、京都、梅田、天王寺、広島、福岡、沖縄本島南部)で実施されています。申し込み時に選択できるので、ご自身の都合に合わせて選びましょう。
参考:公益財団法人 日本英語検定協会ウェブサイト
英検®1級二次試験(面接)の合格率
英検®1級二次試験(面接)の合格率は公式からは発表されていないので分かりません。しかし、インターネット上でさまざまなサイトを見ていると、一次試験を合格した人のうち、約60%の受験者が合格するとしています。これは、他の受験級と比較すると圧倒的に低いそうで、英検®1級二次試験(面接)の難易度の高さが分かります。
英検®1級合格はすごいの?
英検®1級に合格するには、10,000〜15,000語程度の語彙力が必要と言われています。また、英検®では、「読む、書く、話す、聞く」の4技能をバランスよく対策する必要があり、合格者は全てのスキルがバランス良く備わっていると言えます。このことからも、努力なしには合格できない試験であることが明確で、英検®1級合格は「すごい」と言えるでしょう。
英検®1級二次試験のトピック31選
ここからは、英検®1級の二次試験で実際に出題された過去問の傾向から、特に頻出するテーマと関連トピックを厳選してご紹介します。
社会問題17問に挑戦しよう
ここでは、高齢化問題、貧困・格差問題、ビジネス、ジェンダー、権利・法律、メディア、文化に関する問題を取り上げます。
高齢化問題
TOPIC 1
Is an aging population a significant societal challenge?
英検®1級二次試験(面接)対策をしている人には定番のトピックですね。Affirmativeの立場を取り、「社会保障制度の財政不足」や「人材不足」などが理由として挙げられます。
貧困・格差
TOPIC 2
Should rich people be obligated to assist those in poverty?
2022年度第2回の試験では、 “Should the gap between the rich and the poor in modern society be a bigger concern?” が出題されました。「貧困」と聞くと発展途上国などが思い浮かぶかもしれませんが、日本でも「若者の貧困化」などが問題になっています。近年の物価高騰による支出の増加は、多くの世帯に影響を与えましたが、「非正規雇用」や「ひとり親世帯」、「奨学金の返済」など、特定の事例についても着目すると良いと思います。
TOPIC 3
Agree or disagree: It is possible to completely eradicate extreme social inequality.
格差の原因は、「自身や親の経済力」、「ジェンダーの違い」、「住んでいる国・地域」など、いろいろあると思います。それぞれの観点から、今ある格差がなくなるのか、悪化するのかを考えると良いと思います。
ビジネス
TOPIC 4
Agree or disagree: The four-day workweek will become the new standard.
日本では正社員で働くとなると、一日8時間、週5日勤務がほとんどです。これが普通だと思う人も多いと思いますが、他の先進国ではどうでしょうか。英検1級では、問題文に “Japan” という単語が入っていない限り、世界規模でアーギュメントを考えることができます。例えば、他国で週4日勤務を導入した事例をリサーチして、具体的としてスピーチに取り入れてみてはいかがでしょうか。
TOPIC 5
Should job promotions be based on performance or on seniority?
雇用や人事に関する質問は過去にも出題されています。2020年度第3回試験では “Should companies abandon the concept of lifetime employment for their employees?” が出題され、2021年第3回試験には “Have internships become a way for companies to exploit young people?” が出題されました。その後、2022年第2回試験では “Are company hiring processes too focused on people’s academic background?” が出題されています。このことから、雇用に関するトピックは頻出であると思うので、対策することをおすすめします。
ジェンダー
TOPIC 6
Agree or disagree: A lack of women’s rights is a significant issue in Japan.
この設問では、「なぜ女性の権利が軽視されると問題になるのか」や「女性が進出できない社会とはどんな社会なのか」を考える必要があります。世界経済フォーラムが発表する男女平等ランキングで、日本はいつも低い順位にいます。上位の国と比較したり、現代の女性の生き方について調べたりして、自分のアーギュメントを作っていくと良いと思います。自身が女性で苦労した経験があれば、具体的の一つとして取り入れても良いと思います。
TOPIC 7
Should same-sex marriage be legalized in Japan?
日本は同性婚を合法化していませんが、「パートナーシップ制度」を取り入れる自治体が増えています。しかし、この制度は結婚とは違い、相続権や親権、共同ローンの問題など課題はまだ多いです。多様化する価値観があふれる現代で、マイノリティが安心して暮らせる社会は実現可能なのでしょうか。
権利・法律
TOPIC 8
Do labor strikes remain effective for workers today?
ストライキは日本ではあまりなじみのないですが、2023年8月に西部池袋本店がデモ行進する姿が大きく報じられ、世間の関心が高まりました。実は英検でも、2020年度第3回の試験でストライキに関する質問(Should essential workers such as doctors and firefighters be allowed to strike?)が出題されています。
TOPIC 9
Can the use of security cameras be allowed in any public places?
2021年度第2回の試験で “Agree or disagree: Public surveillance is justified if it helps prevent crimes”が出題されています。防犯カメラに限らず、GDPで位置情報を特定できたり、ネットで個人情報が悪用されたりなど、プライバシーに関わる質問は今後も取り上げられていくテーマだと思います。
TOPIC 10
Agree or disagree: The death penalty should be banned in Japan.
死刑制度に関する問題は、2016年第3回の一次試験のライティングで “Should the death penalty be banned in Japan?”というTOPICが出題されています。また、2023年第2回の面接試験でも死刑制度に関するTOPICが出題されており、今後も出題される可能性がありそうです。
TOPIC 11
Agree or disagree: Tobacco products should be banned.
タバコには、有害物質が含まれガンなどの病気の原因になります。それにもかかわらず、タバコが禁止されていないのはなぜでしょうか。
メディア
TOPIC 12
Does using social media affect people’s everyday behavior?
2021年度第1回試験では、 “Has news objectivity become impossible in the age of social media?” や“Is more regulation the answer to cybercrime?” が出題され、その前の2020年度第3回試験でも、 “Agree or disagree: Interpersonal communication skills are becoming less important in the digital age” が出題されました。
TOPIC 13
Will digital media eventually replace all forms of print?
「紙派vs電子派」は常にcontroversialなトピックですね。英検では、「個人的に紙が好き」というアーギュメントではなく、「教育」や「環境」、「健康」など、もう少し社会的な視点から考えると、より説得力のあるスピーチを作れると思います。
TOPIC 14
Agree or disagree: Traditional television is becoming obsolete.
今はネットの時代であるとは思いますが、まだまだテレビの影響は大きいと思います。「ネットにできてテレビにできないこと」、「テレビ局の社会的な役割」などの視点からアーギュメントを考えると良いと思います。
文化
TOPIC 15
Is Japan’s cultural heritage adequately preserved?
日本には2023年現在、26件の世界遺産登録があり、その内21件が文化遺産、5件が自然遺産です。数年おきに新たな遺産が登録されていることから、今後も出題される可能性がありそうですね。また、最近では「オーバーツーリズム」が問題となりニュースでも取り上げられました。アフターコロナや大阪万博の影響で旅行の需要が増える中「持続可能な観光」の実現は可能なのでしょうか。
TOPIC 16
Is there a generational gap in values between today’s juveniles and those in the past?
昔の若者と今の若者を比べる質問は、2022年度第1回試験でも出題されました(“Do young people today face more societal pressures than young people did in the past.” )。この系統の質問は、「家庭(結婚・子育て)」や「仕事」などの視点で考えるとスピーチを作りやすいと思います。
TOPIC 17
Do the advantages of the casino industry outweigh the disadvantages?
2016年にIR法が施行されてから、カジノに対する関心が高まりました。大阪県民には「経済の起爆剤」と期待され、県外でも夢洲での開業を楽しみにされている方が多いですが、カジノ依存への懸念など否定的な意見があることも事実です。また、カジノ依存の問題が注目されるようになったことで、日本でマンネリ化しているパチンコ依存への問題に指摘する声も挙がっています。 このような是非の別れやすいトピックでは、両方の立場の意見をリサーチして、面接官から反論に備えておくと良いと思います。
国際問題7問に挑戦しよう
ここからは、「発展途上国」や「国際社会における日本」「国際イベント」に関する問題に対してスピーチを考えてみましょう。
発展途上国
TOPIC 18
Is it the duty of the developed world to provide aid to developing countries?
ここまでは、主に日本社会の中にある問題について考えてきましたが、世界に目を向けたとき、日本を含む先進国は国際社会でどのような役割をすべきなのでしょうか。
TOPIC 19
Agree or disagree: Globalization helps eliminate poverty from the world.
まず「グローバリゼーション(グローバル化)」とはなんでしょうか。内閣府ホームページによると「グローバル化とは、資本や労働力の国境を越えた移動が活発化するとともに、貿易を通じた商品・サービスの取引や、海外への投資が増大することによって世界における経済的な結びつきが深まることを意味する。」としています。これをふまえて、トピックについて考えてみましょう。
TOPIC 20
Will free trade benefit the developing countries?
自由貿易に関しては、2021年度第3回試験で、 “Should governments do more to promote free trade?” が出題されました。トランプ政権で荒れる今、注目しておくべき話題です。
TOPIC 21
Are growing populations a benefit for developing countries?
日本では少子化が進み、人口減少が問題となっていますが、発展途上国では人口が増えている国が多いです。労働力として子供を産む必要があったり、医療の発展によって死亡率が低下したりしたことなどが主な要因と言われています。このまま人口が増え続けると発展途上国の社会にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
日本
TOPIC 22
Should Japan take on a more significant role in global affairs?
賛成の立場につく場合は、具体的に日本がすべきことを述べることができます。反対の立場のであれば「国内の問題に重点を置くべきだ」と言えます。実際に2021年度第2回試験では、 “Should governments prioritize domestic issues over international issues?” という質問が出題されており、国際化する社会でなにが最優先か考える力が求められているように思います。
国際イベント
TOPIC 23
Is the world exposition still a worthwhile investment?
2025年に大阪万博が開催され、その経済効果が期待されています。その一方で、巨額の開催費用への批判の声が挙がっていたり、交通網やインターネットが普及し人々の交流が容易になった現代で、わざわざ万博を開催することへ疑問を抱いている人がいることも事実です。
TOPIC 24
Do the benefits of hosting international sporting events outweigh the disadvantages?
東京オリンピックは終わりましたが、サッカーやラグビー、フィギュアスケートなど国際的なスポーツ大会はたくさんあるので、練習しておくと良いトピックだと思います。
サイエンス7問に挑戦しよう
ここからは、「環境」や「科学技術」、「医療」に関する問題に対するスピーチを考えましょう。
環境
TOPIC 25
Is it necessary to eliminate all fossil fuels?
環境問題については、 2021年度第2回試験で“Are airline companies doing enough to become more environmentally friendly?” が出題されました。燃料に関するトピックについて答えられるよう練習しておきましょう。
TOPIC 26
Are current measures to stop the illegal wildlife trade effective enough?
このジャンルに関してあまり知識がない人は、なぜ生物多様性が大切なのか、絶滅危惧種の数はなぜ増え続けているのかなど、基本的な知識をリサーチして身につけておくと良いでしょう。
TOPIC 27
Can economic growth and environmental protection coexist?
経済発展と環境保護は両立可能なのでしょうか。2027年に開業予定だったリニア中央新幹線計画は、静岡県での着工を認めていないため、予定通りの開業が困難になったと発表しました。静岡県側は、河川流量や生態系への影響を心配しています。
科学技術
TOPIC 28
Should the use of nuclear power be banned?
核燃料だけでなく、再生可能エネルギーについてもリサーチしておくと良いと思います。
TOPIC 29
Should the use of AI be regulated?
近年では、ChatGPTを使用する企業などが増え、生産性の向上などメリットをもたらしました。その一方で、正しい使い方をしないと気づかず著作権を侵害してしまったり、大学で学生がレポートを提出するために悪用したりといった問題点もあります。インターネットが普及し始めたとき「ネットリテラシー」という言葉ができたように、今後は「AIリテラシー」の重要性を説いていく必要がありそうです。
医療
TOPIC 30
Agree or disagree: Euthanasia should be banned worldwide.
医療分野のトピックは出題される割合は少ないですが、長年社会問題として考えられているテーマに関しては対策しておくと良いと思います。
TOPIC 31
Agree or disagree: Animal testing should be banned.
医療分野の実験に関する質問は、2021年度第3回試験で “Agree or disagree: Stem-cell research will revolutionize medical science”が出題されました。
二次試験(面接)に合格するためのポイント
英検®1級を取得したプロ講師が面接で合格を掴むための、重要なポイントをお伝えします。
一次試験終了後すぐ対策開始
一次試験が終わり、ホッとしている暇はありません。合格発表を待たずに、すぐに二次試験対策を始めましょう。特にスピーチは、構成を練る練習や、自分の意見を英語でまとめるトレーニングが必要です。この期間にどれだけ準備できるかが、合格への鍵となります。
本番までに引き出しを増やす
本番では、一からスピーチを考えるのではなく、用意した引き出しから組み合わせるつもりで臨みましょう。そのため、今回紹介したような幅広いジャンルのトピックをひと通り練習しておくことが重要です。「このトピックには、この内容のスピーチをする」と自分のパターンを決めてしまえば、本番で落ち着いてスピーチを展開することができます。
英検®1級二次試験(面接)に合格しよう
英検®1級の二次試験は、たくさん練習すれば合格できる試験だと思います。この記事でご紹介したトピックリストを参考に対策を進めて、ぜひ合格を掴み取ってください。足りない知識は自分なりにリサーチして補いましょう。
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